
受入企業とのやりとりは、監理団体の業務のなかで最も件数が多く、最も形が定まっていない部分です。同じ書類を集めるのでも、企業によって連絡手段が違い、担当者によって進め方が違う。この記事では、受入企業とのやりとりを4つの工程に分けて整理します。
現場の症状:「送った」「届いていない」が確認できない
受入企業とのやりとりについて、監理団体の方から次のような話を伺います。
- 依頼はメールで送ったが、返答は電話で来る。記録が2か所に分かれる
- FAXで届いた書類がデスクに置かれたまま、担当者が把握していない
- 「先週お願いした件」と言われても、いつ何を依頼したかを遡って確認できない
- 督促のタイミングが担当者ごとに違い、企業によって進み方に差が出る
- 担当者が休むと、その企業とのやりとりの状況が誰にも分からなくなる
もっとも困るのは、3つ目です。依頼した事実そのものが確認できないという状態は、単に不便なだけでなく、期限の管理や届出の判断にも影響します。
構造の説明:やりとりが「経路ごと」に分かれている
この状態が生まれる原因は、やりとりが案件ごとではなく経路ごとに保存されていることです。
メールはメールソフトに、電話は担当者の記憶かメモ帳に、FAXは紙で、訪問時の口頭のやりとりはどこにも残らない。1つの依頼が複数の経路にまたがると、その依頼の全体像を持っている場所がなくなります。
もう1つの構造的な問題は、督促が人の判断で行われていることです。いつ督促するかは担当者が決めており、その判断は他の業務の忙しさに左右されます。忙しい時期に依頼した案件ほど督促が遅れる、という形になります。
受入企業の数が増えるほど、この構造は効いてきます。担当企業が10社のうちは担当者の記憶で回りますが、30社を超えると回らなくなります。育成就労制度への移行にともなって求められる書類や届出の種類が変わる場合、やりとりの件数はさらに増えることが想定されます。件数が増えたときに壊れる仕組みは、増える前に整理しておく必要があります。
工程の分解:受入企業とのやりとりの4工程
さくら協同組合(架空)が、株式会社サンプル製作所(架空)に書類を依頼する場面で、工程を分けてみます。
① 依頼
何を、いつまでに、どういう形で出してほしいかを伝えます。ここで重要なのは、伝えた内容と伝えた日時が、案件に紐づいた形で残ることです。
経路がメールでも電話でも構いませんが、依頼という行為が1か所に記録されている必要があります。そうでないと、②以降がすべて追跡できなくなります。
② 受領
企業から書類や回答が届きます。届いた事実を、①の依頼に紐づけます。この紐づけがないと、「何が届いていて、何が届いていないか」が分かりません。
FAXや紙で届いたものも、この工程で同じ場所に集まる形にしておく必要があります。
③ 承認
届いたものが、依頼した内容を満たしているかを確認します。不足があれば差し戻します。ここは内容の判定を含む工程です。
④ 督促の自動化
期限までに届いていないものについて、企業に連絡します。この工程を人の判断に任せると、担当者の忙しさに左右されます。期限と現在の状態から機械的に決まる部分なので、条件を決めておけば自動で動かせます。
境界線:どこが機械側で、どこが人側か
機械側に移せる工程は、①依頼の記録、②受領の紐づけ、④督促の自動化です。
①は、依頼の文面そのものは人が決めるとしても、「いつ、誰に、何を、いつまでに依頼したか」を案件に紐づけて残す部分は機械が担えます。②の受領も同じで、届いたものを該当する依頼に紐づける作業に判定は含まれません。
④の督促は、条件さえ決めておけば人が関わる必要がありません。期限の何日前に一次連絡、期限を過ぎたら二次連絡といった形です。これを自動化すると、担当者の忙しさと督促のタイミングが切り離されます。
人側に残る工程は、③承認と、督促の先にある関係の判断です。
③は、届いた書類が依頼した内容を満たしているかという判定であり、監理団体としての責任を伴います。株式会社サンプル製作所から届いた書類の内容が形式的には揃っていても、記載内容に確認すべき点があると気づけるのは人です。
そしてもう1つ、機械に移せないのは督促しても届かないときの判断です。何度督促しても書類が出てこない企業に対して、それを督促の問題として扱うのか、受入企業の体制の問題として扱うのか。その判断は、その企業を巡回し、担当者と話し、実習生の様子を見てきた人にしかできません。督促の自動化は、この判断に使う時間を確保するための工程であって、判断そのものを代替するものではありません。
次の一歩
やりとりの集約は、道具を入れれば済む話ではありません。まず必要なのは、貴団体でいま、1つの依頼がどの経路を通っていて、どこで記録が切れているかを書き出すことです。書き出すと、切れている箇所は思ったより少数で、しかし決まった場所であることが多くあります。
Ristaでは、実際の画面を見ながら、どこまでを機械側に移せるかを確認する30分のオンラインデモを行っています。30分・オンライン、準備は不要です。詳しくはオンラインデモのご案内をご覧ください。


