
送り出し機関から届いた候補者の情報を、監理団体の側でもう一度入力する。この作業は、多くの団体で当たり前のように行われています。しかし工程として見ると、同じ情報を2回入力しているだけであり、判定を含みません。この記事では、送り出し機関との連携を2つの工程に分けて整理します。
現場の症状:同じ情報を、形を変えて何度も書いている
送り出し機関との連携について、監理団体の方から次のような話を伺います。
- 候補者の情報がExcelやPDFで届き、それを自団体の管理表に入力し直している
- 送り出し機関ごとに項目名や並び順が違い、対応づけを毎回考えている
- 氏名の表記(ローマ字・カタカナ・漢字)が資料ごとに揺れており、突き合わせに手間がかかる
- 入国後に作る書類でも、同じ情報をまた入力している
- 入力し直す過程で誤りが入り、後の書類まで誤りが伝わる
最後の項目が、この作業のいちばんの問題です。二重入力は時間がかかるだけでなく、誤りが入る場所を増やします。 そして一度入った誤りは、その情報を使うすべての書類に伝わります。在留期限のような、間違えると影響の大きい項目でも同じことが起きます。
構造の説明:情報の「持ち主」が入国のタイミングで切り替わる
なぜ二重入力が生まれるのか。理由は、候補者に関する情報の持ち主が、入国のタイミングで送り出し機関から監理団体に移るという構造にあります。
入国前、候補者の情報は送り出し機関の側にあります。募集、選考、教育、書類の準備。これらはすべて送り出し機関の業務です。入国後、その人は技能実習生あるいは育成就労の対象者となり、監理団体が監理する立場になります。
この切り替わりのとき、情報が引き継がれます。ところが引き継ぎの形が決まっていないため、送り出し機関のフォーマットから監理団体のフォーマットへの変換を、人が毎回手作業で行っているのが現状です。
さらに、この変換は1回では終わりません。入国後に作る各種の書類、在留期限の管理、届出、訪問指導記録、監査報告書(22号)。それぞれの様式が求める形が違うため、同じ情報を形を変えて何度も書き写すことになります。
工程の分解:送り出し機関との連携の2工程
さくら協同組合(架空)が送り出し機関から候補者を受け入れる場面で、工程を分けてみます。
① 候補者情報の受け渡し
送り出し機関から届いた候補者の情報を、監理団体の側で扱える形にします。具体的には次のような作業が含まれます。
- 届いた資料(Excel、PDF、紙)から情報を取り出す
- 送り出し機関ごとに違う項目名を、自団体の項目に対応づける
- 氏名・生年月日・在留に関する情報の表記の揺れを揃える
- 同一人物の情報が複数の資料に分かれている場合、1つにまとめる
これらはすべて、決められた対応関係に沿って移し替える作業であり、判定を含みません。
② 入国前後の接続点
入国前に受け取った情報と、入国後に発生する情報をつなぎます。代表例が講習の記録です。送り出し機関が実施した入国前講習の実績は、入国後講習の時間数を決める根拠になるため、ここで受け取り方が決まっていないと入国後の計画が固まりません。
入国後、その人には配属先の受入企業が決まり、在留期限が確定し、訪問指導や面談の記録が積み上がり、届出が発生します。これらはすべて、入国前に受け取った候補者情報を土台に乗ります。
ここが切れていると、入国後の各書類でまた一から情報を入力することになります。逆にここがつながっていれば、一度受け取った情報が、その後のすべての書類で使い回せます。
境界線:どこが機械側で、どこが人側か
機械側に移せるのは、①候補者情報の受け渡しと②入国前後の接続点の、情報を移し替える部分です。
送り出し機関ごとのフォーマットの違いを吸収し、項目を対応づけ、表記の揺れを揃え、1人の情報として1か所にまとめる。この作業に判定は含まれません。人が手で入力するより速く、そして誤りが入る場所を減らせます。
②の接続も同じです。入国後に作る書類が、入国前に受け取った情報を参照する形になっていれば、二重入力そのものが発生しません。
人側に残るのは、受け入れるかどうかの判断と、送り出し機関との関係そのものです。
候補者の情報が形式的に揃っていることと、その人を受け入れてよいかは別の問題です。書類上は問題がなくても、面接での様子や送り出し機関からの説明の内容から、確認すべき点に気づくことがあります。候補者との面談における判断、そして受入企業に配属したときにその人がどうなるかの見立ては、人にしかできません。
送り出し機関との関係も同じです。情報の受け渡しが機械的に済むようになっても、送り出し機関の運営がどうか、実習生の教育がどう行われているか、費用の取り扱いに問題がないかといった点は、人が見て判断し続ける必要があります。むしろ、二重入力に費やしていた時間をこちらに回せることが、この工程を移す意味です。
次の一歩
二重入力をなくすと言っても、送り出し機関のフォーマットは団体ごと・機関ごとに違います。どこまでが機械的に対応づけられて、どこからが人の確認を残すべきかは、実際の資料を見ないと決められません。
Ristaでは、実際の画面を見ながら、どこまでを機械側に移せるかを確認する30分のオンラインデモを行っています。デモをもって契約が発生することはありません。詳しくはオンラインデモのご案内をご覧ください。


