
技能実習2号を良好に修了した実習生は、技能試験と日本語試験が免除された形で、特定技能1号へ移行できます。 3年の実習を終えた実習生を、同じ企業がそのまま特定技能で雇い続けるという流れは、いまや受入れの標準的な選択肢の1つです。
ただし制度の橋を渡るのは実習生本人でも、橋の上の実務を支えるのは事務局です。そして移行の前後で、監理団体の立場そのものが変わります。この記事では、移行の要件と流れを確認した上で、監理団体の実務に何が起きるかを整理します。
移行の要件——「良好な修了」が鍵
特定技能1号への移行で試験が免除されるのは、技能実習2号を良好に修了した場合です。おおまかには、2号の実習を計画どおり修了していること、技能検定3級もしくは相当する技能実習評価試験に合格しているか、それに代わる評価があることが求められます。移行先の業務は、実習していた職種と関連する分野である必要があります。
実務上の注意点は、「良好な修了」を証明する材料が過去の記録だという点です。実習の実施状況、試験の合格、出勤の状況。移行の手続きが始まってから慌てて集めるのではなく、日頃から実習生ごとに揃っている状態が理想です。
手続きの流れと、時間の敵
移行の中心となる手続きは、在留資格の変更許可申請です。受入企業側では特定技能雇用契約の締結と支援計画の作成が要り、申請には相応の書類が伴います。
時間の敵は在留期限です。2号修了のタイミングと在留期限は近接していることが多く、書類の準備が遅れると期限が先に来ます。申請が間に合わない場合に備えた取り扱い(移行準備のための在留資格)は用意されていますが、それは救済であって計画ではありません。期限管理の記事で書いたとおり、期限から逆算した準備の開始時期を、個人の記憶ではなく仕組みで管理しておくべき場面です。
立場の変化——監理から支援へ、主体が変わる
ここが移行の最も見落とされやすい部分です。技能実習では監理団体が監理の主体でした。特定技能では、外国人への支援の主体は受入企業自身か、企業から委託を受けた登録支援機関になります。監理団体という立場は、特定技能には登場しません。
実務では、多くの組合が登録支援機関の登録を受け、特定技能に移行した外国人の支援を続けています。同じ事務局が、技能実習生には監理団体として、特定技能外国人には登録支援機関として関わる形です。人は同じでも、制度上の帽子が違えば、業務の中身と記録の様式が変わります。
- 監査・訪問指導(技能実習)→ 定期面談・支援実施状況の届出(特定技能)
- 機構への報告 → 入管への届出
- 技能実習の記録様式 → 支援記録の様式
事務局で実際に起きること——二重運用の期間
移行は全員一斉には起きません。ある月から、事務局の中に「技能実習の実習生」と「特定技能に移行した元実習生」が併存し始めます。同じ受入企業に両方がいることも普通です。
このとき事務局では、2つの制度の記録・届出・期限管理が並走します。訪問の頻度も、出す書類も、届出先も違う2系統を、同じ担当者が回す。定期届出の抜け漏れが起きやすくなるのは、まさにこの併存期です。人数が増えるほど、どの人がどちらの制度にいて、次に何の期限が来るのかの管理は、表計算と記憶では追いきれなくなります。
どこまでを機械に任せ、どこからを人がやるべきか
機械に任せてよいのは、制度をまたいだ管理の作業です。 一人ひとりの在留期限と2号修了時期から移行準備の開始時期を逆算すること。良好な修了を示す記録——実習状況、試験合格——を人ごとに揃えておくこと。技能実習と特定技能のどちらの帽子の業務かを取り違えずに、届出と記録の様式を出し分けること。
人がやるべきなのは、移行そのものの判断に関わる部分です。 本人は特定技能へ進みたいのか、帰国か、別の道か。受入企業は雇用を続けたいのか。労働条件はどう変わるのか。移行は本人のキャリアの節目なので、面談で意向を確かめ、企業と条件をすり合わせる仕事は、記録からは生まれません。
自団体の移行の見通しを立てるには
移行期の負荷は、2号修了を控えた実習生が何人いて、そのうち何人が特定技能へ進む見込みか、受入企業は続ける意向かで決まります。この見通しは団体ごとに違うため、一般論では計画になりません。
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