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意思決定

監理団体で職員を増やすか、システムを入れるかの判断軸

監理団体で増員が必要になるのは、多くの場合、面談や指導が増えたときではなく転記と突合が増えたときです。採用にかかる期間、教育の負荷、退職時に運用がゼロに戻る問題を整理し、同じ人数で1日の中身をどう変えるかという観点から考えます。

Guida合同会社

「もう1名いれば回る」という感覚

受入企業が数社増えた。担当する実習生・育成就労の対象者が増えた。そうすると、事務局のどこかで必ずこの話が出ます。「もう1名いれば回るのですが」。

この感覚は、たいてい正確です。実際に手が足りていません。ただし、足りていないのが何の手なのかを確かめておくと、その先の選択肢が変わります。

一度、増えた仕事の中身を分けてみてください。おそらく、次の二つが混ざっています。

ひとつは、人が増えた分だけ増える仕事です。訪問指導の回数、面談の件数、受入企業からの相談への対応。これは対象者が増えれば比例して増えます。減らしようがありません。

もうひとつは、書類の枚数が増えた分だけ増える仕事です。訪問時のメモを様式に書き写す。同じ企業名・対象者名・日付を、監査報告書と訪問指導記録と各種届出の3か所に入力する。在留期限の一覧と個別のファイルを突き合わせて、ずれていないか確かめる。前回の監査報告書を探して、書きぶりを揃える。

この二つ目が、増員の話が出る直前にふくらんでいることが多いのです。

転記と突合は、人数に対して非線形に増えます

なぜ二つ目が先に限界を迎えるのか。理由は、転記と突合が書類の枚数ではなく、書類の組み合わせの数で増えるためです。

受入企業が10社、対象者が40名のとき、管理する情報は「40名分」ではありません。対象者ごとに、在留期限、各種届出の提出状況、訪問指導記録、面談記録、監査のサイクルがあり、それぞれが企業単位の情報とも紐づいています。1名増えるごとに、確認すべき組み合わせが増えます。

さらに、これらが別々の場所にあることが効いてきます。Excelの一覧、共有フォルダのWord、紙のファイル、担当者のメールボックス。同じ情報が複数の場所にあり、どれが最新かを人が判断しています。この判断は、書類が増えるほど時間がかかります。

そして育成就労への移行が進む局面では、様式や運用の変更が加わります。変更のたびに、既存の書類との突合が一巡します。ここで一気に負荷が上がります。

つまり、増員が必要になるのは、面談や指導が増えたときではなく、転記と突合が増えたときであることが多いのです。ここを取り違えると、1名増やしても、その1名の時間もまた転記と突合に吸われます。

3つの論点

増員という選択肢そのものを否定する話ではありません。人が要る仕事は確実にあります。ただ、増員だけで対処する場合に、事前に見ておくべき点が3つあります。

採用期間 — 手が増えるまでの時間

監理団体の職員は、募集をかけてすぐ決まる職種ではありません。制度の理解が必要で、外国人材と受入企業の双方と向き合う仕事です。募集から着任まで、地域によっては数か月かかることも珍しくありません。

そのあいだ、負荷は今の職員にかかり続けます。「もう1名いれば」と判断してから実際に手が増えるまでのあいだが、いちばん苦しい期間になります。ここは増員という選択肢の構造的な弱点です。

教育負荷 — 増員が一時的に人手を減らす

着任してからも、すぐに戦力になるわけではありません。監査報告書の書き方、22号をはじめとする各様式の扱い、在留期限や届出の管理、受入企業ごとの事情。これらを教えるのは、いま最も忙しい職員です。

つまり、増員した直後の数か月は、既存職員の時間がむしろ減ります。 育成が実を結ぶまでのあいだ、事務局全体の処理能力は一時的に下がります。この谷を織り込まずに増員を決めると、「増やしたのに楽にならない」という感覚になります。

退職時のゼロ復帰 — 手順が人の中にある状態

これが3つ目にして、最も重い論点です。

監理団体の業務には、書式に書かれていない判断が数多くあります。この受入企業にはこの順番で連絡する。この様式のこの欄は過去にこう書いてきた。この時期は在留期限がまとまるので前倒しで動く。こうした手順は、たいてい担当職員の頭の中にしかありません

その職員が退職すると、手順もいっしょに失われます。次の担当者は、書類だけを見て一から組み立て直すことになります。実際には、過去の監査報告書や訪問指導記録を読み返しながら、なぜこう書いたのかを推測するところから始まります。

採用と教育に費やした時間が、退職のたびにゼロに戻る。 これは職員個人の問題ではなく、手順が組織の側に残る形になっていないという構造の問題です。

減らす話ではなく、1日の中身が変わる話です

ここを誤解のないように書きます。

仕組みを持つことは、職員を減らすための話ではありません。 監理団体は、外国人材の生活と就労を支える立場にあり、人を守る側の組織です。人を減らす方向の論理は、この立場と噛み合いません。

そうではなく、同じ人数の1日の中身を変える話です。

いまの1日が、転記に2時間、突合と確認に1時間半、書式を揃える作業に1時間かかっているとします。この4時間半は、外国人材にも受入企業にも直接は届いていない時間です。ここが減れば、その分を面談と訪問に使えます。

言い換えると、**「もう1名増やす必要が出るのは、転記と突合が増えたとき。その1名分の時間を、面談と判断に使えるようにするのが仕組み」**ということです。増員をやめる話ではありません。増員したときに、その1名が転記ではなく現場に向かえる状態をつくる話です。

そして、退職時のゼロ復帰にも効きます。手順が仕組みの側に残っていれば、次の担当者は書式と期限の扱いを一から推測せずに済みます。引き継ぎの中身が、「この様式はこう書く」から「この企業とはこういう関係です」に変わります。後者こそ、人から人へ引き継ぐ価値のある内容です。

AI側と人側の境界線

分ける基準は明快です。同じ情報を別の場所に写す作業と、期限を数える作業は仕組みの側。相手を見て決めることは人の側。

仕組みが担うのは、たとえば次のような工程です。訪問指導記録に一度入力した企業名・対象者名・日付を、関連する各様式の該当欄に反映すること。在留期限と各種届出の期限を一覧で保持し、近づいたものを知らせること。同じ受入企業の過去の監査報告書を必要なときに取り出せる状態にしておくこと。様式の体裁を揃えること。いずれも、正解が一意に決まる作業です。

人が担うのは、正解が一意に決まらないことです。株式会社サンプル製作所の寮を見て、この状態は指導が必要な水準かを決めること。面談で、対象者が「大丈夫です」と言った後の表情から、もう一度聞き直すかを判断すること。受入企業の担当者に、どこまで踏み込んで伝えるかを決めること。そして、監査報告書に監理団体として何を書くかを確定させ、さくら協同組合の名前で提出すると決めること。

この人の側の仕事は、時間をかけるほど質が上がります。 転記は、時間をかけても質は上がりません。1日の中身を変えるというのは、この配分を変えるということです。

まず、いまの1日の中身を見るところから

ここまでの話は、「いまの業務のうち、どれが転記と突合で、どれが判断か」が分かっていることを前提にしています。感覚では分かっていても、時間の配分として見えている団体は多くありません。

現在の業務を工程ごとに分け、どこにどれだけ時間がかかっているかを一度可視化する手順をご用意しています。詳しくはオンラインデモのページをご覧ください。

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